慶應義塾大学総合政策学部の志望理由書 質問者/斑

◎質問者(文章執筆者)の性別/男
◎質問者(文章執筆者)の年齢・学年/17歳
◎文章の用途/大学志望理由書
◎文章の提出先/慶應義塾大学総合政策学部
◎チェックしてほしい事柄・ほしいアドバイス/文体や読みやすさの改善法
◎質問したい事柄/読んでいて熱意が伝わるかどうか

私は日本の伝統工芸品を世界規模で流通させるインターネットビジネスを立ち上げたい。その事業の基盤を形成するため、慶應義塾大学総合政策学部への入学が必要不可欠であると考えている。
数ある選択肢の中で日本の伝統工芸品を選んだきっかけは私の育った環境に起因する。私は9年の間、英語イマージョン教育環境の中で育ち、様々な国へ短期留学や国外旅行を重ねる中で、風習、思考方法、生活など様々な視点から日本と他国と比較するようになった。そして海外と相対して日本の特長を発見するごとに日本人の気質や洗練された文化に心惹かれるようになり、日本文化とは何かというものを模索するようになった。
そんな時に出会ったのが「陰翳礼讃」という本だ。そこにあった「日本人の意識や美的感覚、職人の技が集約された日本文化の象徴的なものが伝統工芸品である」という考えに私は強く心打たれた。そして、今尚伝統工芸品を作り続ける職人の、古き良き日本人を思わせる謙虚ながらも堂々とした態度を見た時、この伝統工芸というものが決して絶えることのないよう、何らかの形でこれを復興させようと思い至った。
しかし、伝統工芸品が「日用品」である以上、安価な輸入品の溢れかえる昨今では売れ行きが伸びにくく、既に多くの自治体が全国各地の伝統工芸品をインターネット上で売り出してはいるものの、国内販売には限界が感じられる。そこで私は国外への輸出を拡大することによって収益を上げられないかと考えた。というのも、過去にアメリカのサマーキャンプに参加した際に、世界各国の外国人が日本の文化に強い関心を抱いていると肌で感じた経験があったからだ。
私が考え付いた方法はインターネットオークションサイトのebayを利用して国際通販を行うというものだ。過去に海外オークションや海外個人制作者から直接商品を買い付ける個人輸入を何度か実践した経験からその利便性に着目した。会員数が数億人を超える規模を持つebayであれば、国内通販とは比較にならないほどのバイヤーを獲得できるチャンスがあり、日本人セラーは信用度が高く売り上げが伸びやすい傾向があるので有利である。具体的には、そこで外国人の好む「サムライ」や「ハイテク」の印象のある伝統工芸品の販売を考えている。例えば明珍火箸風鈴などがそれに当たる。戦国時代から武将の甲冑や火縄銃を作っていた52代続く家系の職人が、日本刀に用いられる玉鋼を用いて鍛錬した風鈴だ。その澄んだ音色からSONYのマイク検査にも使用されている。関税や送料を考慮すれば、どうしても高額になってしまうが、好きな家紋を選んで職人に彫りこんで貰えるなどのサービスで付加価値を与えられれば、金額に見合った価値を見出してもらうことは十分に可能だ。私はこのオークション通販のビジネスを大学在学中には完成させ、卒業後には個人として起業し、オークションサイトに依存しない自社サイトからの販売を目標としている。そのため、貴塾の経営戦略のインターネットマーケティングの分野においては、電子商取引に関する学問を学びたいと考えている。また、事業を始めるにあたって貴塾のKIEPによる資金調達の支援や学生起業に関するノウハウ、ベンチャー情報の把握が必要であり、広いネットワークを持った貴塾の交換留学プログラムを用いて語学力を更に強化したいと考えている。
私は高校二年時にSFCオープンリサーチフォーラムに参加し、そこで研究発表を行う貴塾生の先鋭的な発想と、実社会との繋がりの強さを目の当たりにして強く感銘を受けた。そして貴塾における実践的教育と有能な塾生との生活の中での問題解決力の育成が、今後国際社会を相手にビジネスを展開していく上で必要不可欠であると感じた。私の夢はまだ構想の段階であり、貴塾への入学がこの構想を更に高いレベルへと発展させてくれると確信している。また、貴塾における私の活動が、他の多くの学生との協力しあい相互に影響しあっていく中で貴塾の更なる発展に結びつくと自負している。
以上の理由から、私は慶應義塾大学総合政策学部への入学を希望する。

“慶應義塾大学総合政策学部の志望理由書 質問者/斑” への1件の返信

  1. 管理人回答:背伸びは、おやめなさい。

    >文体や読みやすさの改善法
    ⇒17歳の作文にしてはよく書けていますが、無理な背伸びをしています。不要なばかりか意味を取りにくくする記述があったり、勝手な思い込みあるいは論拠のない断定で論旨を展開していたりするために、読みにくくなっています。また、具体性が足りないために説得力が不足しています。
    具体性について言えば、抽象概念を駆使できるのが、賢いことの証明にはなりません。それらの多くは、誰でも言える当たり前のことに過ぎないのです。もちろん、文章で抽象概念を扱うこともできないレベルの人もいるでしょうが、あなたの場合はそうではないでしょう。

    以下、上記の指摘の実例をいくつか、挙げておきます。それを改善することが、 結局、読みやすさにつながります。

    >私は日本の伝統工芸品を世界規模で流通させるインターネットビジネスを立ち上げたい。その事業の基盤を形成するため、
    ⇒ビジネスの「基盤を形成する」と言えば、普通は会社を立ち上げたり、特定のビジネスモデルを確立したり、商権を確保したりすることを指します。あなたが言いたいのは、そういうビジネスをするための基礎知識や基礎技能を身につけたいということでしょう。背伸びして難しく言おうとするから、あるいは利口そうに見せようとするから、こういうことになるのです。

    >数ある選択肢の中で日本の伝統工芸品を選んだきっかけは私の育った環境に起因する。
    ⇒「きっかけ」が、~~に「起因する」というのは、どう読んでも日本語として間違っています。「きっかけは~~にある」などというのが普通です。要するに、ツマラナイ背伸びです。

    >私は9年の間、英語イマージョン教育環境の中で育ち、
    ⇒ここはあなたの生い立ちを説明するところでしょう。もっと普通の言葉で書いたらどうですか?海外での生活が長かったのか、インタナショナルスクールのようなところに通っておいでだったのか知りませんが、それを普通の言葉で具体的に書くことです。イマージョン教育などという言葉を使ったからといって、誰もその筆者が利口だとは思ってくれませんし、具体性がない分、すんなり理解できないのです。

    >そして海外と相対して日本の特長を発見するごとに
    ⇒なぜ、普通に、「海外文化と比べて」などと書かないのですか?「相対する」「相対」の意味を辞書で調べて御覧なさい。決して、あなたの用法が適切とは言えないことが判るはずです。ツマラナイ背伸びです。

    >そこにあった「日本人の意識や美的感覚、職人の技が集約された日本文化の象徴的なものが伝統工芸品である」という考えに私は強く心打たれた。そして、今尚伝統工芸品を作り続ける職人の、古き良き日本人を思わせる謙虚ながらも堂々とした態度を見た時、~~
    ⇒結局、あなた自身が日本のどんな伝統工芸品に触れたのか、どんな職人の仕事振りを見たのか、何も具体的に書かれていません。あとのほうに、ようやく明珍火箸のことが出てきますが、遅いですし、それもネットか何かで見聞した知識としか読めません。自分が実際に見たり触れたりしたことのないものを、いくらすばらしいと礼賛してみても、まったく説得力がありません。

    >しかし、伝統工芸品が「日用品」である以上、安価な輸入品の溢れかえる昨今では売れ行きが伸びにくく、
    ⇒もちろん、伝統工芸品は一般に日用品であって、という定義はあるでしょう。しかし、たとえば明珍火箸風鈴と、百円ショップで売っている風鈴は、比較されるようなものでしょうか?風鈴がほしいが、明珍火箸風鈴にしようか百円ショップで売っている風鈴にしようかと迷うような人がいますか?日用品としての用途は同じでも、それらはもう違う種類の商品なのだと管理人は思いますが。

    >過去に海外オークションや海外個人制作者から直接商品を買い付ける個人輸入を何度か実践した経験からその利便性に着目した。
    ⇒実際に、どんな物を買ったのか、具体的に書かないと、説得力がありません。単なる都合のよい作り話と解釈されても仕方ないでしょう。

    >広いネットワークを持った貴塾の交換留学プログラムを用いて語学力を更に強化したいと考えている。
    ⇒本論ではないかも知れませんが、「9年の間、英語イマージョン教育環境の中で」育ったという人が、今さら、語学力を更に強化したいなどというのは、おかしな話だと感じますが?

    普通の言葉で書く、事例をあげて具体的に書く、それを守れば、読みやすい文章になります。

    >読んでいて熱意が伝わるかどうか
    ⇒伝わりませんが、そんなことは考えなくていいのです。判りやすい文章で、自分の考えを相手に伝える、それで十分です。「熱意が伝わるように書きましょう」などというのは、ろくな文章指導もできない教員の、お決まりの逃げ言葉です。

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