きっかけは学生の一言だった。「看護師になるのを辞めようと思っていた時、鈴木さんに指導されてもう一度がんばろうと思った。」そう謝恩会で学生から言われた。仕事にやりがいを見出し、学生指導を任された頃だった。自分が学生時代、勉強も、実習もおろそかにしていたことで看護師になって、とても苦労したことが頭にあった。どうすれば看護師になって苦労しないのか、実習に興味を持ち積極的になってもらえるのか、実習が充実するのかを考えた。そのためには実習環境を整えることが重要であると考えた。まず、何でも話し合える指導者が必要である。これは友達感覚の関係ではない。学生と指導者という一線は必要である。悩んだときに一緒に悩める存在であり、悩みを打ち明けられる存在になりたかった。その熱意に学生も応えようと努力をしてくれた。そんな充実した学生指導がいつしか、教員となって看護師を育てたいという気持ちに変化していった。そして謝恩会で学生から言われた一言が忘れられずにいた。こんな自分とのかかわりで学生の気持ちを変えることができ嬉しかった。自分と関わる学生たちに「看護は大変で難しいけれども、とても面白く、すばらしいのだということを知ってほしい。感じて欲しい。わかって欲しい。」それを伝える側になりたいと思った。いずれ学生は看護師になり、何らかの理由で辞めるときが来るかもしれない。辞めてからも、看護の魅力を忘れられず、いつか就きたいと思えるように看護師としてのベースを作れる教員になりたい。