よい文章を書けるようになるためには、自分で繰り返し作文して練習する一方、小説でも何でも、ともかく少しでも多くの良い文章を読んで、良い文章、判りやすい文章とはどんなものかを体感することが大事だと言われます。管理人もそれには賛成ですが、ここで言いたいのは少し違う話です。
代筆サービスの仕事、とくにQ&A式代筆サービスの場合、お客様に多くのお尋ねをします。そのお尋ねに対して、お客様から返信されるお答えがあまりに的外れで、驚くことが少なくありません。それは管理人の質問の仕方が悪いのだろうとか、質問が判りにくいからだろうとか言われると、明確な反論もできないのですが、自信を持ってそうではないと言えるケースも少なくありません。たとえば、管理人が次のような質問をしたとします。
「なぜ、あなたは自分の考えが周囲に十分に理解されていないとお考えになるのですか?」
この質問に対して、お客様から、
「ハイ!」
という元気な、そして大変失礼ですが、ある意味でノー天気とも言える答えが返ってくるケースが、よくあるのです。つまり、このお客様は質問文冒頭の「なぜ、」をまったく見ていないか、「あなたは~」以下を読んでいるうちに、「なぜ、」を忘れてしまうのでしょう。要するに、他人の文章をきちんと読むということができていないのです。
また、当サービスでは受注後、こちらで知っておくほうが良いお客様のご経歴など、プロフィールに関するお尋ねをしますが、その際必ず「固有名詞不要」という断り書きをしています。それにも関わらず、学校や会社などの固有名詞を書いて回答を返信なさる方が、半数近くいらっしゃるのです。そういう事務的連絡の文章さえ、きちんと読めていない訳です。
いずれも、あまりにも単純な話ですが、きちんと読めていないのですから、正しい理解もできるはずがありません。そういう読み方しかできないようでは、大学入試出願の際の課題作文のように、相手から要求されて作成するような文章を、適切に書くことは難しいと言わざるを得ません。相手の意図が正しく理解できないのですから、その意図に対応した適切な文章を書くことなどできるはずがありません。文章が上手とか下手とか言う以前の、ごく事務的なコミュニケーション能力が欠落している訳です。
他人の文章は、落ち着いて、丁寧にしっかりと読む。そこから始めていくことをお勧めします。