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過去の添削とアドバイス例78 国際交流系財団奨学金申請用 第三者推薦状

過去の添削とアドバイス例 78
国際交流系財団奨学金申請用 第三者推薦状

 
奨学金申請のための第三者推薦状
学部時代の指導教授にお願いしましたが、書いたものに印を押すということなので添削をお願いします。
・推薦文として不適切な内容はありますか?
・そのほか直したほうが良いところはありますか?
 
この度、leMMonさんがアメリカ○○大学のTESOL修士課程留学に際して、貴財団の奨学金を申請するにあたり、推薦辞を差し上げたく存じます。
leMMonさんは、2002年4月から2004年3月まで私のゼミに在籍し、中東研究を専門としておりました。彼女は非常に優秀な生徒で、自らの好奇心を持ち前の実行力で様々な形で具体化してきました。学部の卒業論文では、アラブの一般庶民の考え方に近づきたいという気持ちから、エジプトの現地新聞の身の上相談記事を大量に翻訳し、それを分析するという独自の研究を行いました。その論文は、日本で出版されているアラブに関する書籍から読み取れるものとはまた異なったエジプトの姿を映し出し、数量や統計に偏りがあることを差し引いても、秀逸なものでありました。
また彼女は、イスラームに対する興味から、自ら学外の教育機関でアラビア語の勉強を重ね、卒業後にはチュニジア政府奨学生として夏季の語学プログラムに参加しました。 leMMonさんは、チュニジアでの経験から言語教育に大変興味を持ち、帰国後は日本語教師養成の専門学校に身を置き、2005年10月には合格率10%ともいわれる日本語教育能力検定試験に一回で合格しました。しかし彼女は、そこで満足することなく、自ら語学学習者として、対象言語をネイティブレベルまで高めることを経験したいという思いから、今回アメリカへの留学を決意しました。今回の留学で第二言語習得を自ら体験することによって、彼女はより学習者の側に立った指導ができる教師へと成長するはずです。
leMMonさんはTOEIC915、TOEFL  、他にもフランス語検定2級を取得しており、高い語学力を持っております。また上記のチュニジア以外でもフランスへの2ヶ月間の言語文化留学(当大学とフランス△△大学の交換留学)、アメリカでの居住経験(1990年3月~1991年3月、父親の仕事に伴って)や南米への旅行など、海外経験も大変に豊富です。現在も、各国の友人を訪れたり東京に迎えたりということを自主的に行っており、帰国後は必ずや、貴財団の求める国際交流に様々な形で貢献する人物であります。ぜひともleMMonさんを貴財団の奨学生に選出していただきたく、ここに積極的に推薦申し上げる次第でございます。
よろしくご高配のほど、お願い申し上げます。
 
添削よろしくお願いします。
leMMon(23歳、女性)
 
もう少し内容を絞るほうが良いでしょう。
 財団というのがどういう財団なのか、その奨学生募集の趣旨や要項が不明ですから、ピントはずれな指摘になるかも知れません。
>・推薦文として不適切な内容はありますか?
 不適切というわけではありませんが、全般的にとても大学教授の書いた文章とは思われない印象ですね。「彼女は非常に優秀な生徒で」の「生徒」などは単純な間違いとしても、全体的に表現や言い回しが幼稚な感じを受けます。英訳するなら問題はないのかも知れませんが。
 
>・そのほか直したほうが良いところはありますか?
 最初に書いている通りですが、どうも研究の方向や志向が一定しない印象です。
 アラブやアラビア語研究から、日本語教育研究、英語教育研究と、これはもちろん研究興味に応じての変遷でしょうが、単なる外国旅行の話まで含めて、これでもかというほどアレコレ書いてあるために、読んだ印象がフラフラした感じになるのです。
 実際の経験はそうであったとしても、こういう推薦文では趣旨に添って、内容を絞るほうが賢明だと思います。
 TESOLというのは、英語を母国語としない人のための英語教授法のことを意味すると理解しているのですが、その修士課程というのは、
>彼女は、そこで満足することなく、自ら語学学習者として、対象
>言語をネイティブレベルまで高めることを経験したいという思い
>から、今回アメリカへの留学を決意しました。
 という記述と整合性があるのでしょうか?
 つまり、上記の言い方では自分自身が英語の勉強に行くということのようですが、それはTESOL修士課程へ留学する趣旨として正しいのでしょうか?
 自分がTESOL対象者だというわけですから、間違いということもないのでしょうが、そういう話のややこしさも手伝って論旨が不明確な印象です。
 当方が素人だからゆえの誤解なら、それで良いのですが。
 
書き直しました。
ご指摘を受け、書き直しました。
再度添削をお願いします。
1.依然として幼稚な表現がありますか?
2.その他直したほうが良いところはありますか?
 
拝啓 時下ますます御健勝のこととお喜び申し上げます。
この度、leMMonさんが貴財団の奨学金を申請するにあたり、推薦辞を差し上げたく存じます。
leMMonさんは○○大学で2年間、私の中東研究ゼミに所属しておりました。当時から語学習得に大変熱心で、卒業後は言語教育の分野で経験を積まれたと伺っております。
彼女は知的探究心が旺盛で、またそれを具体化する実行力を持ち合わせた優秀な人物であります。学位論文の執筆にあたっては、自ら培ってきたアラビア語能力を活かし、エジプトの現地新聞の記事を大量に翻訳しそれを分析するという、きわめてユニークな研究を行いました。leMMonさんの論文は、私たちが日頃、日本で目にすることの難しい「アラブの日常生活」を描き出すことに成功しており、数量や統計に偏りがあることを差し引いても、秀逸なものでありました。
またleMMonさんは、様々な枠に囚われない、非常に広い視野を持った人物であります。自分自身の求めるものをしっかりと見極め、周囲に流されることなくそれを追い求めることの出来る人物です。それは時に、頑固ととられる場合もありますが、私は彼女の指導教授として、この研究に対するひたむきさ、志の高さこそ、leMMonさんの最も秀でている点であると評価いたします。またこれは、彼女が目指している教師という職業に、最も必要とされる要素でもあります。
leMMonさんは帰国後、日本語教師として働くことを希望しております。leMMonさんには既に、豊富な海外経験と言語学習経験、そして日本語教師としての知識があります。今回の留学で更に、外国語教育研究として最も進んでいる英語教授法の知識、そして2年間の海外留学経験が加わることで、leMMonさんは今までの日本語教育の枠に囚われない新しい可能性を持った日本語教師として、日本語教育の可能性を更に広げていかれることでしょう。そして日本語教育に限らず、様々な分野において、貴財団の求める国際交流へ貢献する人物であります。
是非ともleMMonさんを貴財団の奨学生に選出して頂きたく、ここに積極的に推薦申し上げる次第でございます。
よろしくご高配のほど、お願い申し上げます。
敬具
 
※奨学金は私設財団の奨学金で、応募条件は分野指定はなく、国際交流に貢献する者となっています。
添削よろしくお願いします。
leMMon(23歳、女性)
 
細かなチェックだけしておきます。
 趣旨はかなり明確になったようです。幼稚さもそれなりに改善されています。
 細かなチェックだけしておきます。
 
>卒業後は言語教育の分野で経験を積まれたと伺っております。
 今は、指導下にないとは言え、かつての指導教授が教え子に対して、それも第三者に向けての文章で敬語を使うことには、違和感があります。少なくとも、両者の間の距離を感じさせて、推薦状としての信頼度が低くなります。また、少し前にある「所属しておりました」という表現、そこに表れた姿勢と食い違いがあります。
 また、いきなり「伺っております。」などという伝聞を持ってくるのは推薦状として感心しません。これも信頼度を落とします。
 
>学位論文の執筆にあたっては、自ら培ってきたアラビア語能力~
 ここで言う論文は、卒業論文のことでしょう?間違いだとは言えませんが、普通、学位論文というのは博士論文のことを指すものですね。
 
>数量や統計に偏りがあることを差し引いても、秀逸なもので~
 数量や統計に偏りがある論文が、優れたものといえるのでしょうか?わざわざ書くような話でもないと思いますが。
 
>外国語教育研究として最も進んでいる英語教授法の知識、
 日本語として少し変ですね。さまざまある外国語教育メソッドのなかで、研究がもっとも進んでいる英語教授法、というのが言いたいことでしょう。「研究として」はおかしいですね。
 
>今までの日本語教育の枠に囚われない新しい可能性を持った
>日本語教師として、日本語教育の可能性を更に広げていかれる
>ことでしょう。
 ワンセンテンスに「日本語教育」が2度、日本語教師も合わせると3度も同じような言葉が出てくるのはどうでしょう。少なくとも最初の「日本語教育」は不要です。また、この程度の文全体のなかで「枠に囚われない」が2度も出てくるのも、どうでしょうか。
 
>ここに積極的に推薦申し上げる次第でございます。
 事実がどうあれ、消極的に、嫌々推薦することなどないでしょう。「積極的に」は不要ですし、かえって変です。書くなら「強く」とか「自信を持って」とか、でしょう。
 

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